少し前の話だ。
記憶に間違いがなければ、今の勤め先の採用面接へ向かう途中だったと思う。
電車に乗っていた私は、斜め向かいに座っていた親子に目が留まった。
土曜日ということもあり、父親が幼い娘と一緒に遊びに行くようだ。
父はまだ平仮名を覚えたばかりであろう娘に本を読んでやっていた。
たまの休みに娘と一緒に過ごせることが本当に嬉しそうに、父親は優しく娘に
語りかけていた。
そんな何気ない風景を見て、私は思わず微笑んでいた。
親はこれほど子どもに愛情を傾けられるものか。
だが、次の瞬間、3つの怒りが私を支配した。
1 これほどまでに愛情をかけて育てた子どもを奪われる親の気持ちを考えて。
2 愛情をかけて育てられず、虐待される子どもたちのことを考えて。
3 そして、そんな状況を許している神のことを考えて。