1998年 フランスワールドカップ。
フランス代表監督、エメ・ジャケをフランスの新聞、レ・キップは最後まで
批判し続けた。いわく、「このチームでは、フォワードが点を取れない」
両者は激しく対立し、フランスが優勝した際には、ジャケは言った。
「私を誹謗、中傷したジャーナリストたちを一生忘れない」と。
それに対して、レキップは紙面でこう答えた。
「我々が理想としていたフランス代表のFWは、ある意味で古いタイプのサッカーを前提にしていたのかもしれない。
結果的にFWが点を取れなくとも、ジャケ率いる我らが代表は世界王者になった。
だからジャケは正しかったのだろうか?
我々が一貫して指摘し続けてきたFWの決定力不足、これは最後まで解決しなかったし、ジャケは我々の問題提起に答えなかった。
その意味では、我々だって勝者といえる。
確かにジャケは英雄となったが、その彼を批判し続けた我々の新聞の売れ行きが落ちたかといえば、そんなことはない。
勝ったという事実に甘んじて提灯持ちみたいな記事を書くくらいなら、
我々は結果的に失敗してこうして恥をかく方を選ぶ。
それが我々のやっている批評という仕事なのだから。」
我々に求められるのはこの姿勢ではないだろうか。
日本代表の稚拙な両サイドの(特に左の)守備は何一つ改善されていない。
勝ったという事実が全てを覆い隠してしまわないように、声をあげなくてはならない。