二度と見られない選手


 イチローは私たちが生きている限り、一生見られないような選手かもしれない。

 日本球界で7年連続首位打者

 大リーグ1年目で首位打者盗塁王、MVP

 4年目の今年、大リーグの安打記録まであと10本に迫っている。


 残り試合が10試合。一試合あたり、4打席しか回ってこないと考えると、

 40打数10安打する必要があるが、これは打率では .250に換算される。

 現在の打率から考えて、記録更新の可能性が極めて高くなっている。


 日本にいるときから思っていたのだが、彼はどんなモチベーションで試合に

 臨んでいるのだろうか。

 7年連続の首位打者、そして大リーグでも首位打者


 今引退しても、有り余るほどの金もあるだろう。


 普通の選手であれば、燃え尽きてしまってもおかしくない。


 彼は「天才」と呼ばれることを嫌うという。

 「天才は打ったヒットに説明がつかないが、自分は説明できる。だから、

 天才ではない」

 と彼は何度かインタビューに答えている。


 そこには彼の強烈なプライドが感じられる。

 
 つまり、それほどの練習をこなしているということだ。

 だからこそ彼は「人より練習しているのに、『天才』の一言で

 片付けられてはかなわない」と度々口にするのだろう。


 それでも、私は敢えて彼を「天才」と呼びたい。


 その異常なまでの精神力の強さゆえに。