ディスカッション前半戦!!

2006年6月某日、渋谷某所でワールドカップまたジーコジャパンの4年間を振り返り、今後の日本サッカーについて考えるためディスカッションを行いました。題して、

         「6月の勝利の歌が歌えない」



 参加者を紹介します。きままに代表ブランクでおなじみのブランクさん。ヒガシヤマ堂の西川いづみさん。年齢不詳関西人のいぇーん氏。熱烈ジュビロサポーターのでぃーすけさんの4名に司会のさるねこを含めた5名です。一癖も二癖もある今回のメンバー。どんな話が出てくるか、乞うご期待

表記

ブランクさん・・・ブ

西川いづみさん・・・西

いぇーんさん・・・い

でぃーすけさん・・・で

さるねこ・・・さ





オーストラリア戦について

さ 「今日はご参加ありがとうございます。とりあえず、今回のワールドカップの日本代表の戦いを振り返ることから始めたいと思います。では・・・いづみさん」

西 「え?何で私からなの・・・?まあ、いいや。順番にオーストラリア戦から言えば・・・吹田病?」

さ 「吹田って、ガンバね」

西 「そう。後半終了間際で失点というのが・・・」

さ 「はいはい(笑)」

い 「または、一時期の川崎(笑)」



西 「今の磐田(笑)」



さ 「ブランクさんは?」

ブ 「やっぱり、ヒディンクの采配がすごいよね。後半に攻撃的な選手を迷いなく入れてくるという。日本の場合は、小野の投入でおかしくなっちゃった」

で 「オーストラリアが終盤FWを投入することは分かっていたのに。結局、それに耐え切れるだけの守備力がなかったですね。それに対応できる選手選考ができてなかったですね」

い 「マネージメントもなにも、できてなかった。だから、結果としては妥当だった。もちろん、凹みましたけど」

さ 「最後の数分間で3点取られたことは衝撃的だったかもしれないけど、点差としては妥当だったですね」

ブ 「能活君が当ってなければ、早い段階で0−3とかになっていてもおかしくなかった。そう考えると能活君の大会だったよね」

一同 「そうそう」

で 「何かが降臨してましたよね(笑)」

ブ 「ブラジル戦で強烈なミドルシュートとか片手で止めてたもんね」

一同 「あれはすごかった」

い 「ブラジル戦は枠内シュート14本で4失点。てことは、10本止めてるわけですよ」

ブ 「能活がいなかったら、大変な大会になっていたかもしれない」

一同 「ああ。確かに」

さ 「その一方で、オーストラリア戦の飛び出しミスがありましたけど、あれはどうでしょう?」

で 「ああいうスローイングが入ってきたときは、キーパーが出て触るというのを練習してたって話ですよ。でも中澤が触ろうとしてしまったと。きっと、声も掛けられないほど、パニック状態になってたんじゃないですかね。」

ブ 「守備のことで言えば、宮本が下がりすぎてた」

で 「あれはどうしてあんなにラインを下げるんですかね?」

ブ 「画面で見ても、一人下がっているのが分かった」

で 「走力に自信がないから、怖くてさがっちゃうんじゃないですかね」

西 「うん。怖くて下がっちゃうんだと思う」

ブ 「あれだけ下げちゃうと、中盤が空いちゃうんだよね」

い 「バイタルエリア空いてるの、4年間ずっとですもんね」

ブ 「三戦通して、あれがいけなかった」

で 「バイタルエリアを空けると、ワールドカップのレベルだとあそこからミドルシュート打たれて、入れる力がありますからね」

さ 「オーストラリア戦もミドル決められたし」

で 「ペルナンブカーノにもやられたし」

ブ 「ただ、オーストラリア戦についていえば、ヒディンクが上手だったってことじゃないかと思う」




クロアチア戦について

さ 「そうですね。で、2戦目。クロアチア戦ですが・・・一戦目と比べてどうだったでしょう」

い 「うーん・・・かなり消極的だったような・・・」

ブ 「この試合から俊輔が試合から消えてしまってた」

さ 「熱があったのは確かみたいですね」

で 「マーキングされると、ボランチの位置くらいまで下がってきちゃってましたね」

い 「で、三都主とポジションがぶつかっちゃう」

ブ 「中田が縦横無尽に動いてたよね。で、福西が相手抑える動きをしてた」

さ 「で、福西が途中交代になりましたけど・・・。僕は珍しくジーコがまともな采配をしたなと思ったんですが、どうですか?」

で 「ニコ・コバチに結構やられてたし」

ブ 「肘打ちを胸に食らって、動けなくなった」

さ 「意外に福西、弱いからね。そういうのに。自分も良くやるくせに(笑)」

で 「『いつも、やってることやられちゃった』って動揺したのかも(笑)」

さ 「結構相手の中盤をフリーにしちゃいましたからね」

い 「選手へのメッセージとしての選手交代としては、良かったんじゃないですかね」

さ 「ああ、いぇーんさんが言う、『選手交代でのメッセージ』っていうのは大切な言葉だと思うんですけど、オーストラリア戦の小野の投入って、どんなメッセージだったんでしょう」

い 「見えない(苦笑)」

西 「なんだろう?」

で 「はてな(笑)」

い 「トルシエテレビ東京のフランス戦の解説してるときに、小野の交代シーンが放送されてましたけど、トルシエ、固まってましたよね」

ブ 「ああ、You Tubeにも流れてたやつねえ・・・」

さ 「僕は新宿の某所ででぃーすけくんとかの磐田サポーターの人と一緒に見てたんですけど、あの交代の瞬間『これ、地獄の15分になりますよ』って言っちゃいましたもん(笑)」

一同 「ハハハ」

で 「言ってたね(笑)」

さ 「あの交代は意味がない・・・意味のない交代どころか、悪化するなと思ったから」

ブ 「クロアチア戦に話を戻すと、クロアチアの精度も悪かったよね」

で 「そうでしたね」

ブ 「クロスが雑だった」

一同 「うーん」

ブ 「このチーム弱いなって思ったけどねえ」

い 「後半の頭で完全にバテてたんで、勝てるかなと思ったんですけどねえ」

で 「テクニックもそんなになかった気がします」

ブ 「そう。だからここは勝てたかもしれない試合なんだよねえ」

い 「8年前のフランス大会のときのような、インパクトはなかったですよね」

で 「あの時のクロアチアはスキルがどの選手も高かった気がしますね」

ブ 「正直に言えば、オーストラリアもそんなに強いチームじゃなかったよ。今回の大会の他のグループのチームと比較すると」

で 「前の方の選手はテクニックもあったし、身体の使い方も上手かったけど、中盤から下の選手は・・・」

さ 「ディフェンスラインの選手とか、足元の技術なかった気がする」

ブ 「この二試合はもしかすると、いいチームを作れれば、勝てたかも。特にクロアチア戦は」

で 「勝ち点4は最初の二試合で取れましたよね・・・」

さ 「クロアチア戦の選手交代については、おおむね妥当だったってことでいい?」

西 「クロアチア戦は妥当だと思いますねえ」

で 「あの試合は柳沢が1点入れてれば・・・」

西 「カルガモね(笑)」

さ 「でも、柳沢に得点を求めたら、ダメなんだよね」

一同 「あー」

で 「点を取る選手じゃないですからね」

い 「ゴール前に走りこんでるのはOKなんですけどね」

さ 「ただ、ゴール前にいたんなら『急にボールが来たので』はないよね(笑)」

い 「あそこに走りこめるんなら、どうしてシュートするイマジネーションがないのか(笑)」

西 「目の前に誰か一人、見えたんですよ。その選手にパスを出したんですよ」

で 「オフサイドじゃないですか」

一同 (爆笑)

西 「副審には見えない選手なんだって(笑)」

で 「明らかに、あれは慌てて打ちましたよね。何も予測してなくて、ボールが来たから、急いで足出したら『アワワー』ってw」

さ 「キーパーの股を抜くという・・・」

い 「すごいと言えば、すごい」

さ 「ただ、柳沢なんで、責める気にはならないよね」

い 「普段からサッカー見てる人は柳沢がああいうことする選手だったわかってますからね。ただ、サッカー知らない僕の周りの人は怒ってましたね」

西 「やっぱり(笑)」

ブ 「このクロアチア戦は中田のミドルシュートが結構枠に行ってましたよね」

で 「あの距離から決められる選手が日本には中田くらいしかいないというのが・・・」

さ 「日本にはゴールの枠に行く選手が中田しかいない。それより上のブラジルのレベルになるとそこを決める選手がいる。日本の他の選手は枠にも行かない」

で 「Jリーグを見ていると、あの距離からの得点ってほとんどないじゃないですか。たまにあってもブラジルの選手ばっかりだし」

い 「A代表で日本人が決めたのは・・・コンフェデ(2005年ブラジル戦)の中村とウルグアイ戦(2003年親善試合)の稲本くらいか」

さ 「あの距離から決められるかどうかが重要だよね」

ブ 「(三戦通して)俊輔が使えなかったから、フリーキックも武器にならなかった。ジーコジャパンの武器のはずだったのに」



ブラジル戦について



さ 「さて、そろそろ振り返りたくないけど、ブラジル戦にいきますか」

一同 (苦笑)

ブ&い 「トラウマですよね」

で 「俺、思ったんですけど、ぜんぜん違う競技に見えたんですよ。片方は『サッカー』で、片方は『球蹴り遊び』みたいな。それくらい衝撃的でしたね」

い 「選手のモチベーションは一番高い試合だった気がする。前半の35分くらいまではちゃんとプレスも掛かってたし3対2とか2対1の数的有利を作り出せてたんで」

さ 「ある程度ブラジルが前に出てきてくれたんで、プレスが掛かりやすかった」

ブ 「ただ、パススピードと動き出しがブラジルは速かった」

で 「日本はマイボールのときのパス精度が低かった。ブラジルはミスなくゴール前までボールが運べてたじゃないですか。日本はチャンスが少ないから大切にしなきゃいけないのに最後のパスが雑だった」

さ 「つなぎのミスが多かったよね」

い 「高い位置でボールを受けれないでしょ」

さ 「高い位置以前に、その手前で相手に渡したり、タッチを割ったりしてた」

西 「プレーが雑というよりは、イメージの共有が出来てない」

一同 「ああ」

西 「『走りこんでくれるだろう』と思って、パスを出しているのに、受け手のもらいたい位置はもっと手前だったりとか、逆に前に行き過ぎたりしてた。で、そのときの怒り方というのが、イメージが共有できなかったことに怒っていたような・・・」

い 「なるほど」

で 「玉田と中村とか、三都主とかが合わなくてラインを割るのが結構ありましたね」

西 「ずっとメンバーを固定してやってきたのに、どうしてそのイメージの共有ができていないのか(笑)」

い 「俺も同じこと、言いかけた。だけど、それ言っちゃうと、いきなりジーコジャパンの総括になっちゃうから、やめたんだけど(笑)」

ブ 「個人の技術にブラジルとすごい差があった。ボール失わないじゃん。日本がプレスに行っても放さないし」

さ 「難しいことはしてなかったですよね。ボール蹴る。止める。走る。それだけだったけど、その一つ一つがとてつもなく正確」

ブ 「後半なんて、ブラジルがボール失わないから、ずっと守りっぱなしになっちゃった」

さ 「11対11の『鳥かご』だったよね」

ブ 「しかも、キーパーまで交代されちゃって。怒り狂いそうになった。酷いなあと思って」

さ 「だけど、ワールドカップで優勝するようなチーム相手にああいう試合をしてしまって・・・」

い 「逆に失礼ですよ」

さ 「・・・かもしれない。で、ああいう展開で3点差になったら、ゴールキーパーも試しておこうかなって、ブラジルの監督の立場だったら思うよ」

ブ 「トルシエの時だったら、前からプレスに行こうとしただろうけど、プレスがないから、引くしかなくなっちゃった」

で 「守備の約束事がありませんからね。一人、個人技でかわされるとズタボロにされちゃうんですよね」

い 「相手が自陣に入ってきたときに誰がプレスに行くのか、ラインブレイクするのかどうかというのが・・・」

さ 「すごく、迷いがあるような気がしません?プレスに行く時に」

い 「そう。バイタルエリアがこの4年間ずっと空き続けてきたのはそのせいだと思うんですよね」

ブ 「最終ラインだけで、セレソンを抑えられるはずがない」

さ 「それができるのは相手のレベルが低い時だけですよね。プレスが必要なくて、最終ラインだけで跳ね返せるのはアジアレベルまで」

い 「ブラジル戦の前半もラインが結構後ろに下がって、ボランチが埋めなきゃいけないスペースにいなくて、じゃ、誰が行くのかってなったときに、慌ててDFがラインを崩して前に出て、CBの裏を斜めに走られて・・・っていうシーンが結構あった。『今、ライン崩すなよ』って思わず叫んでしまった。それかもっと早くDFが行くのかはっきりしなかった。ディレイ中心なのかどうなのか・・・」

さ 「最後までどんな風な守備を志向していたのか分からないまま終わっちゃった」

で 「守備専門のコーチがいなかったっていうのも響きましたね・・・」

さ 「そんな話あったねえ。『守備専門のコーチ』って言葉もおかしいけどねえ。監督の仕事だろ、それ(笑)」




なぜジーコだったのか



さ 「では、ここで次の議題に行きたいと思います。ジーコという監督について、なぜ2002年後にジーコだったのかということについて、難しいとは思いますが、協会の気持ちになっていただいて、考えてみたいと思うんですが(笑)」

ブ 「川淵がトルシエが嫌いだったってことでしょ。反動だよね」

西 「メーターの針が左に行き過ぎたんで・・・あ、左右の思想の話じゃないですよ(笑)、それを反対側に戻しすぎて、メーター振り切っちゃって、本当は中央に行かなきゃいけない針が、行き過ぎちゃったのかなと」

ブ 「よく、『組織と個』みたいな対立軸で語られるじゃないですか。それがそもそもおかしいですよね。『組織だけ』とか『個だけ』みたいなのあるわけないのに」

さ 「ブラジルですら組織的にやってるのに、日本のアレは何なんだ」

で 「代表チームって集まれる時間が少ないから、ある程度ベースを決めてそこに選手を当てはめていかなきゃ、試合にならないと思うんですよ。そこで、『個の力があーだこーだ』言ってもね」

い 「オールスターじゃないんだから(笑)」

西 「むしろオールスターのほうが強いんじゃないかと」

ブ 「ジーコってコーチとしての経験がないじゃない」

さ 「監督みたいなことをしたのは’98年のフランスと何年か前の鹿島だけでしょ?」

西 「鹿島サポの友達曰く、結局総監督だし、実質はやってないし、関塚さんがいたから」

ブ 「じゃあ、何の実績で選んだのかな」

さ 「やっぱり、川淵さんの思惑でしょ」

い 「『オートマティズムからの解放だ!!じゃあ、適任なジーコがいるじゃないか』とかキャプテンが言った気がする」

さ 「だって、ブラジル戦終わってすぐのコメントでも『個の力が足りなかった』なんてことを言ってるわけでしょ」

で 「誰が?」

さ 「川淵が。彼は『個が弱い』言ったわけですよ。あほかと。組織サッカーが出来ていてそれを言うなら話は分かるけど」

ブ 「『個』の話をすれば、ブラジルの選手に追いつくの100年掛かるよ。無理だよ」

さ 「どんなに今から頑張っても、何十年か、百何年か後に、追いつくことしか出来ないですからね。抜くのは無理」

で 「今から3歳とか4歳の環境を変えないと追いつくことすら出来ないですよね」

さ 「元代表呂比須がテレビで言ってたけど、『どこか遊びに行く時に自転車で100キロくらいの道のりを走ったもんだ』って。そんな生活している子供と争って勝てるわけがない」

ブ 「日本の子供がテレビゲームやってるときに、あっちはボールを蹴ってるんだもんなあ」

さ 「日本代表選手ですら、ウイイレとかやってるじゃないですか(笑)」

で 「この前、鹿児島に行った時に(ナビスコカップグループリーグ最終戦は鹿児島の鴨池陸上競技場で行われた)、磐田の選手と同じホテルになったんですけど、その時、選手達が『今日の夜、どうします?』とか話してて、H選手が『誰かの部屋でウイニングイレブンだな』とか言ってますからね(笑)」



黄金の中盤



ブ 「最初のジャマイカ戦で黄金の中盤を並べてた時にすでに、悪夢の始まりだったね」

で 「そうそう(笑)」

さ 「あの試合はどうでした?僕は正直、あの試合見て『ダメだ』と思ったんですけど」

ブ 「俺も」

で 「覚えてないな」

い 「『まあ、4年間あるし』くらいにしか思ってなかったかな」

ブ 「連動性がなかったから」

さ 「連動性は最初だから仕方ないと思ったけど、プレスの掛け方がなってなかった。あの4人を並べるってことは守備が相当きついぞと思った」

で 「稲本もそんなに守備をする選手ではないですからね」

ブ 「ディフェンスのやり方もおかしいよね。今回のW杯を見ているとどのチームもコンパクトにしてるんですよ。ラインを押し上げて、プレスを掛けて・・・それでも点を取られちゃうんだけど。ジーコの場合、中盤をあけて、一人余らせるでしょ」

で 「深めにラインを敷いて、福西をその前に置いといて・・・」

ブ 「その福西だけで一生懸命止めてたわけですよ」

さ 「動かないでね(笑)」

ブ 「で、中田は前に行っちゃう」

で 「福西が防波堤になっているという」

さ 「磐田も変わらないか(笑)」

西 「『動かない』の意味が違う(笑)」



公開練習



ブ 「公開練習について考えたいんだけど、どうなのかな・・・ちょっと信じられないんだけど」

さ 「後藤健夫さんがラジオで言ってましたけど、公開練習で1万何千人も集まってくるような環境では絶対に選手の調整なんか出来ないと。W杯の3戦、とにかく選手のコンディションが悪そうだったけど、それはあの公開練習が原因ではないかと」

で 「コンディションは確かに悪そうだった・・・2回ワールドカップに出ていて、少なくともノウハウはあるわけじゃないですか。どうしてあそこまでコンディションを悪くしちゃったのか」

い 「しかも今回はFIFAのカレンダーの指示で、休暇もあったわけじゃないですか」

西 「それも2002年の反動なのかな。トルシエのときは非公開練習できっちりやっていたことに対する」

さ 「川淵も実際言ってたしね。この前。『次の監督にも公開練習をやってもらいたいって』」

一同 (呆) 「信じられない」

ブ 「広告代理店対策でしょ」



サポーター



で 「商売に走っちゃいますからね・・・なんか、だんだん代表がおかしな方向に行ってますよね」

さ 「というのは?」

で 「国内最後のスコットランド戦を見に行ったんですね。アウェイ側ゴール裏で」

ブ 「スカート履いて?(笑)」

西 「バグ・パイプ持って?(笑)」

で 「違う違う(笑)で、そのときに感じたのは・・・なんというか真剣さがない。サポーターの」

い 「あー」

で 「ゴール裏に何を求めてきているんだか分からない。普段、磐田の試合とかを見てて、ゴール裏に行くと、すごく真剣さが伝わってくる。そういうのって選手たちも感じると思うんですよ。昔の代表の試合とか生で見たことないけど、97とか98年(※)のスタジアムって今、ビデオで見てもそういう雰囲気があったと思うんですよ。でも、スコットランド戦のゴール裏はなかった。全然感じなかった」※当時彼は中学生

西 「それは・・・2002年の時に既にそんな感じだった。ゴール裏とか行ってもお祭り感覚とかデート感覚で来ている人が多くて、ゴール裏なのに声を出してコールをする方に『何やってんのこの人』っていう視線が集まって、一瞬、『あれ?ここはどこなんだろう?』っていう感覚に陥ることがあった」

で 「そういう雰囲気があって、『これはえらいことになるなあ』って思った。まあ、すでになってましたけど(笑)そういうのに嫌気がさして、コアなサポーターはみんなJリーグに行ったのかなと」



ブ 「普通ね、ブラジル戦みたいな負け方したら、怒鳴りまくると思うのよ。みんな。Jサポだったら、そうでしょ?」

で 「全員がさるねこさんになるわけでしょ」

ブ&西&い 「ワハハハハ」

ブ 「リアルなたとえ話(笑)」

さ (苦笑)

ブ 「でも、当時は現になってたでしょ」

で 「カズとかサポーターに囲まれて、タマゴとか投げられたじゃないですか・・・」

西 「あれはやりすぎ。ああいうことするのは逆ににわかだと思うけど」

で 「ああいうふうになれとは言わないけど、そこまでさせるような雰囲気がないじゃないですか」

さ 「フランス大会の予選の頃はテレビからでも伝わってくるものがあった気がする」

ブ 「国立での日韓戦とか」

西 「日韓戦は昔と比べて本当に変わっちゃった。ピリピリした雰囲気がなくなった」

で 「今みたいな弛緩した雰囲気にさせているのって、やっぱりJFAですよね。新しい人を取り込ませるために・・・」

西 「でも、新しい人を取り込むことは必要。層を広げないといけないから。でも、やり方は考えないと」

い 「スタジアムに行って思うのは、サポーターも試合を作っているという意識がないですよね。Jリーグでもそういうところがまだある」

ブ 「代表の試合の客層が変わりましたよね。サポじゃなくて、完全に観光客。イベントを見に行く観光客。ユニを買って、スタジアムに行って、『わー』と騒ぐという感じ。応援とかじゃない。そこで、植田氏とかが怒る。『声出せよ〜』とか。でも聞いてないんだよね」

さ 「そういう新しい層にとって、『日本代表』っていうのはブランドなんですよね」

で 「そうそう。ブランド」

ブ 「代表戦を見にさいスタ行く途中とかにポスターみたいなのが貼ってあるじゃない。『今日は燃えなきゃいけない』とか『今日は気合を入れろ』とか」

で 「あるある」

ブ 「少しでもそういう雰囲気を出したいと思って、サポが頑張ってるんだろうけど、残念ながら実ってないんだよね。全然ウルトラスとかの想いが伝わってないんだよね。あれが『可哀想だなあ』といつも思う」

西 「代表のことを『自分のチーム』だと思ってないんじゃないかな。日本の代表ではあるけど、自分達のチームだと思ってないから、声を出さなきゃいけないとかいう意識がないのかなあ」

さ 「日本のスポーツ界ってそういう傾向があるからねえ。例えば野球で言えば、巨人とかを『あれは俺のチームだ』って意識で見ている人ってほとんどいないんじゃないかな。本当に勝たせるために応援しに行っているのって、ロッテと阪神くらいなもんでしょ」

い 「ああ」

さ 「Jリーグが出来て、サポーターって言葉が認知されるようになって、少しずつそういう意識を持つ人が増えてきたけど、代表の場合はなぜかあったものがなくなっちゃった」

ブ 「今回、サッカーパブとかパブリック・ヴューイングに行っている人たちも、にわかな人たちが多いんですよ」

で 「それはこの前実感しましたね」

ブ 「それは?」

で 「簡単に言えば、騒ぎに来てるだけ。びっくりしましたよね」(さるねこを見る)

さ 「磐田サポーター何人かで集まって、700人くらい入るようなところで見てたんですよ。で、『あ、こいつら普段サッカー見てないな』ってどこで分かるかって言うと、コールの仕方を知らない」」

西 「あー」

い 「僕も別のスポーツバーに友達と一緒に行ってて、同じことをその時に言ってたんですよ」

さ 「川口能活を『カワグチ』ってコールするでしょ」

い 「そうそうそう!!『ヨシカツ』か『カワグチ』かで分かる」

さ 「でも、感心したのは、700人がみんな代表の青いユニきてるじゃないですか。一着一万円として、700万円でしょ。まあ、やらしい話だけど(笑)すごいなと。まあ、僕は一人だけジュビロのユニフォーム着てたけど(笑)」

で 「23番(福西)のねw」

ブ 「大学生が4年周期で、スポーツバーとかに行って、家族持ちは自宅で青い服着て、応援するって感じみたい。で、昼間はカツどん食べて」

さ 「ごめん。僕も食べた(笑)」

い 「僕も食べましたよ(笑)」

さ 「まあ、そういう広がり方が正しいのかどうかは分からないけど、広がってるといえば広がってるのかもしれない」

西 「広がりというよりも、根づいてほしい」

で 「まだ、サッカーが文化として根づいてないですよね」

西 「サッカーというより、スポーツ全般が根づいてない。それをどうするかが課題・・・というか、スポーツに限らず無形のものに対する敬意というものが日本にはない」



Jリーグへの影響



ブ 「サッカー好きの人は使命として、あのにわかの人たちをいかにJリーグに連れてくるか考えないとね。にわかっていって拒否しちゃうのは簡単なんだけど、『サッカー見に来てよ』って言ってスタジアムに連れてきて、いい試合を見せられれば・・・」

さ 「そういう意味でも、余計にワールドカップでの代表の活躍ってすごく大切」

ブ 「4年に一度のチャンスだからね」

で 「僕の友達でも、代表から先ず入って、今、かなりコアな磐田サポになってる人がいるし」

い 「僕の知り合いでも、2002年がきっかけでレッズサポの人とかいる」

さ 「僕だってそうだし。今じゃ、磐田サポーターみたいなことをやってますけど」

で 「え”?『みたい』って(笑)山本監督辞任をスタジアムで知ったような人がw」

さ 「いやいやいや・・・」

ブ 「昨日、サッカーバーの店長と話してたんですけど、『新しいサッカーファンを取り込む最大のチャンスを失敗しちゃったよね』って言ってたんですよ。」

で 「2002年のあとって、観客増えましたもんね。ワールドカップの直後の浦和vs磐田とかすごかった」

西 「まあ、それは浦和だし(苦笑)」

で 「まあねえ(笑)」

西 「面白かったのは、ガンバの客層が変わったっていう話ね」

さ 「あー。はいはいはい」

西 「ゴール裏の声よりも、『キャー恒様!!』っていう声の方が大きい時期があったという(笑)」

い 「ほんま、そうですよ」

西 「でも、それでも、来てくれて、何人かが残ってくれればいいわけだから」

ブ 「残る。残る。必ず残る。でも、今回はそれに失敗したんだよね」

い 「自国開催のワールドカップなんて50年に1回あるかないかでしょ。そこでベスト16に入って、大切なのはその次のワールドカップである、今回だったのに。それを逃してしまったのは大きな責任だと思う」

ブ 「ジーコ?」

い 「いや、任命権者である川淵ですよ」



川淵三郎について



(レジュメを見ながら)

さ 「川淵って、この字であってる?(笑)」

い&西 「あってるw」

ブ 「ま、一言で言えば独裁者でしょ」

で 「この人、何になりたいんでしょうね?」

ブ 「お金儲けは上手いよね。D通とくっついて、いろんなスポンサーからスポンサー料をがっつりもらって、キリンとアディダスを儲けさせて、JFAにお金を入れまくった人ですよ。福島にアカデミーとか作ったりもしたけど、裏で何やってたかというと、記者クラブの中で自分に反抗的な記事を書く人がいたら、次からは記者パスを渡さないわけですよ。そうなったら困るから記者は批判的な記事が書けない。こうやって言論統制してった・・・ってこれ、言っちゃっていいのかな」

い 「大丈夫でしょ(笑)」

で 「新聞とか見てても分かりますもん」

い 「大本営発表ですよね」

ブ 「そうやって、全てがジーコを応援する記事になっちゃったから、批判的な記事が全く出てこなくなった。トルシエ時代だったらありえない。あの時は、ほとんど批判記事だったから」

さ 「あれじゃないの?『トルシエの批判記事を書かないと、パスをやらねえぞ』って言われてたんじゃないの?」


一同 (爆笑)

ブ 「岡野さんはそこがプロフェッショナルだよね」

で 「トルシエのときって一週間に一回は、どこかの新聞が『トルシエ解任か?』って書いてましたよね(笑)」

西 「毎試合、毎試合『この試合に解任が掛かって・・・』とか書いてたよね」

で 「それが前提になってましたもん(笑)」

ブ 「あの時は、サポーターの方が『やめさせるな』みたいなことを言ってた」

い 「そういう横断幕も出ましたよね」

ブ 「今は一切そういう記事がないから」

さ 「気持ち悪いよね」

ブ 「どんな無様な試合しても、記事にならないんだから、一種の洗脳作業だよね。まだ、会長続けるのかな」

さ 「今日読んだ記事だと『監督が辞めるからといって、会長が辞めるような前例を作りたくない』って言ってましたね。僕、頭が悪いんで、意味が分からないんですけど(笑)」

い 「僕も分かりませんw」

さ 「ただ、財団法人ってところは、何に対して責任を取るかが明確じゃないところだから。でも、少なくとも自分が選んだ監督が結果を残せなかったら、責任取るのがあたりまえかと」

ブ 「自社ビル作っちゃうくらい利益出した人だから」

さ 「確かに150億の黒なんて、普通のスポーツ系の財団法人じゃありえない。いいところで1億とかだから。そういう面では結果だしてるから、文句も言えないんだろうね」

西 「どこにサッカーを向かわせたいんでしょうね」

ブ 「商品じゃない?利益を生む商品」

で 「そうなんでしょうね」

さ 「つまり、ワールドカップで勝つことは考えてない?」

ブ 「考えてないよ。そりゃ、勝ちたいとは思ってるだろうけど」

で 「利益第一で、ついでに勝てればいいか・・・みたいな」

い 「完全な拝金主義」



客層



さ 「商品って話が出たけど、勝ち点1、得点2、失点7、得失点差‐5っていうのは、はっきり言って惨敗じゃないですか。代表人気はどうなりますかね?」

で 「やってみないとわからない・・・」

ブ 「電通がガンガン広告するだろうし」

西 「結局、そこか(笑)」

い 「日本人ってミーハーだから」

ブ 「コアな人だったら、今頃怒ってるのが普通だよね」

い 「今、ちょうど成田で生卵が投げられてる頃じゃないですか?(笑)」

さ 「でも、あっちの空港出る時にジーコに『ありがとう』って言った奴がいるって話だからね・・・」

で 「あ、ニュースで見てたら聞こえましたよ」

ブ 「えー!?」

い 「マジっすか!?中田と川口以外は生卵に漬かってると思ってたのに」

で 「何に対して『ありがとう』なんでしょうね?」

西 「『いなくなってくれてありがとう?』」

で 「でも、任期が切れただけだし(笑)」

西 「ああ、そうかw」

ブ 「でも、50万とか70万とかいう金を出してドイツに行って、あの試合見せられたら、普通は怒るよ」

い 「クロアチア戦の終了のホイッスルが鳴ったときにカメラに抜かれてたサポーターが笑顔だったのもどうかと思うよね」

西 「話が戻っちゃうけど、お祭りだから。どの試合見ても、カメラ持って見てる人がいたりとか、手すりにもたれ掛かって見ていたりとか、声出してないじゃないですか。何しにいってるんだろうと思いますよね。少なくとも私の感覚だったら、高いお金出して、スタジアムに行ってたら、声を出して『ここにいるよ。支えてあげてるからね』ってメッセージを出しに行ってるんじゃないの?って思うし、不思議で仕方がない」

さ 「行く目的が違うから。応援しにいくんじゃなくて、『選手がなるべく近くで見られればいや』って感覚だろうから」

ブ 「でも、それに70万とかお金をかけるわけでしょ。チケットを取って」

さ 「ヨーロッパに旅行しに行くんだと思えば安いんじゃないですか?」

で 「観客の6割はそういう感覚でしょう」

ブ 「ああ、ジャニーズのコンサートのドイツ公演に追っかけで行くみたいな感覚なのかね」

西 「そうそう」

で 「代表の試合は日本のスタジアムでも4割くらい、そんな感じですよね。キャーキャー黄色い声があるような」

西 「まあ、その人たちをいかに取り込んでいくかが大事なんだけどね」

ブ 「どうやったら、あの子たちをJリーグに取り込めるかね」

で 「結局、最初の取っ掛かりは選手個人からだと思うんですよ。そう考えた時に、二十歳くらいの選手達が全く代表に入ってないのは厳しい」

西 「でも、それはジーコが選んでないだけから。普通の監督だったら選ぶし、いい選手はいるでしょ。今、二十代後半の選手達が二十歳くらいのときにスーパープレイヤーだったかというと、そうじゃないから。ただ、今の若手の選手達はどう魅了させるかを知っている選手が少ない」

ブ 「Jリーグの試合内容は良いと思う。だけど、Jリーグをイベントとしてみた場合に、どうしても海外リーグとか代表よりも劣ってしまうように見える」

い 「エンタテイメント性が弱い?」

ブ 「そう。そこが強ければ、ディズニーランドとかにいくのと同じ感覚で来てもらえるんだろうけど。にわかの人はそうやって取り込むしかないから」

で 「Jリーグを見に行ってる人って『濃い』ですからね。近寄りがたいのかもしれない」

ブ 「一般の人はバクスタとか行くでしょ。メインとかバックスタンドで見ていると、試合を解説する人っているじゃない。あれが一般の人は引くよね」

西 「カップルで見に来ている男の子の方が一生懸命、彼女に教えてるんだけど、彼女の方が嫌がってたりね(笑)」

ブ 「あるある(笑)」

で 「試合を実況してる奴とかいるしね」

さ 「ああ、今年の高校選手権の試合の時の?(笑)」

で 「そうそうw」

ブ 「川崎みたいにさあ、試合前にみんな歌わせればいいんだよね」

西 「川崎は取り込み方が上手いと思う。子供達も親から連れられてくるって感じじゃなくて、子供達が試合を見に来てる。試合に飽きて遊んでたりする子供が他に比べて少ない」

さ 「川崎は一つの理想になりつつあるよね。あの雰囲気はいいよね」

い 「街としてもJリーグのある街の雰囲気が作れてる」

さ 「そうそう」

ブ 「100年構想ってJリーグが言ってきたけど、今回のW杯の負けで、少し停滞してしまう気がする」

で 「停滞しますね」

ブ 「そういう意味で、国内リーグが頑張って、行きやすいJリーグにしないと」

で 「国内リーグの発展なくして、代表の発展はないですからね」

西 「何のためにJリーグを作ったのかを見直さないと。目的の一つにワールドカップで優勝するためっていうのがあったじゃないですか。今はJリーグと代表が乖離しちゃってる」

さ 「別のものになってる。例えば、磐田で川口とか福西とか村井とか田中誠とかが選ばれてたけど、興味がなくなっちゃったもん」

ブ 「なんだそりゃ?(笑)」

さ 「福西以外はJリーグでの活躍と比例してなかったから。やっぱり、Jリーグで活躍している選手が代表には選ばれるべきだと思うんですよ。でも、村井が一番最初に選ばれたときって磐田でもいまいちだったし、田中誠だって、そう」

で 「村井が選ばれたときって、磐田では全然かみ合わなくて、左サイドで阿波踊りしてた時に選ばれましたもんね(笑)」

さ 「いくら磐田の選手だからって代表に入って無条件に応援するのは嫌なんですよ。『今の状態のアイツならJリーグにはもっといい選手いるだろ』って思う。だから、あの代表は嫌い」

ブ 「その点、トルシエはよく見てたよね。高校サッカーまで見てたって話しだし」

い 「当たり前でしょ(笑)代表監督だったら」

ブ 「それがすごいと思えてしまうくらいジーコって試合見てないでしょ」

さ 「ジーコと俺、どっちが試合見てますかね?(笑)」

一同 「ギャハハハハ」

さ 「去年、75試合見たけど」

で 「何になりたいんですか?(笑)」

さ 「よく言われるw」