激動の1日

 試合終了後に、有志でヨシアキとオオイとマ・エ・ダのコールをしました。退場になった茶野はともかく、今日の試合で闘っていたのは彼等だけでした。

 一人少なかったとはいえ、余りにも気持ちが感じられないチーム。そんな中、不可解な交代でピッチを去らなければいけなかったヨシアキのことをを考えると、いたたまれない気持ちになりました。せめて、「君は頑張っていた」という気持ちを伝えたくて、コールし続けました。

 10分ほどコールしていると、ヨシアキが着替を終えて出てきました。彼はコールをしている僕らの所に寄ってきて、こう言いました。

「ありがとうございます。もっと頑張ります」

 それを聞いた瞬間、涙が溢れて、流れ落ちて、止まりませんでした。

 一番頑張っていた選手にこれ以上何を頑張ってもらえればいいのだろう。自分のしたことは間違っていたのではないだろうか。そんな自責の念を感じながら、彼が見えなくなるまでコールは続きました。

 続けてオオイコールをしていると、前田が出てきました。当然、マ・エ・ダコール。彼はピッチにいたときとは別人のように足を引きずり、何度かこちらに会釈しながらバスに向けて歩いて行きました。
「ワン・トップは自分しかいない」
その責任感が彼をピッチに立たせているのでしょう。その心意気にまた、余計に涙が出てきました。

 健太郎は僕達が気がつかないうちに、バスに行ってしまったということなので、帰ろうということになり、スタジアムを出たところで、事務所の方へ行っていたサポが戻ってきて一言。


「監督、辞表出したって」


 正直、意味が分からなかった。もちろん、文章としての理解はできます。しかしながら、今日、このタイミングで辞表を出すという行為がどうしても理解できなかった。

 磐田にとっても山本さん自身にとっても、今、辞めるのは良くないと思うのです。

 磐田について言えば、後任を探すのはかなり困難になるでしょう。はっきり言えば、斜陽のチーム。少なくとも、日本人監督を探すのは無理でしょう。困った時の政一さんはこれまでの積み上げを元に戻してしまう可能性が高い。

 山本さんについて言えば、逃げにしか見えないような辞任の仕方をすることで、今後の指導者としての先がないように思えます。少なくとも、数年はどこのチームからも声は掛らないでしょう。
磐田の黄金期にコーチとして、また、ワールドカップベスト16に導いた首脳陣の一人としては余りにも淋しい結末ではないでしょうか。

 辞めろと言い続けてきた僕ですがあまりにもタイミングが悪すぎる。これなら、解任の方がどれだけ双方にとって良かったか。

 どうして、※フロントは辞任ではなく(事実はともかく)、解任と発表しなかったのでしょうか。斜陽のチームの監督を引き受けてくれた人物の将来のことを考えられなかったのでしょうか。一人の人物のことを考えられないフロントが30名以上の選手、その他大勢のスタッフの集合体であるチームを作ることができるのでしょうか。

 ※追記。後任を探していたのなら、余計にそう思うのですが。真面目な山本さんが「自分から言う」と言った可能性が高いかな。

 覚悟しなくてはいけません。これから、サポーターとしての本当の力が試されるでしょう。