ディスカッション後半戦その4

saruneko2006-07-14


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今後へ向けて
ワールドカップで勝つために

ブ 「さ、悪態は散々ついたから(笑)、未来に目を向けた話をしましょう」

さ 「じゃあ、ワールドカップで勝つためには何が必要か。誰かありますか?」

で 「ほい。今回の3試合を見て分かったとおり、テクニックの差というのは数年とかいう単位では埋めがたいと思うんですよ。その技量の差を別のもので克服するために、次の監督がすごく重要になりますよね」

い 「それと同時に若年層の育成も必要ですよね」

で 「あと、『俺にボールよこせ』っていう選手が今、いないですよね。責任逃ればっかり。典型的なのがオーストラリア戦でのカウンターのシーン*1の高原と柳沢」

さ 「ああ、あれね」

で 「柳沢は『こっちに出さないで、出さないで』みたいな感じで、高原は『シュート打ちたくない、打ちたくない』みたいな感じ。そういう意識も変えないと」

西 「2002年までは、前提として『個の力では勝てません。だから、組織で、チームワークで勝とう』っていうのをやってきたわけですよ。それで、自国開催とはいえ、ベスト16という結果は出せたし、そこで日本の取るべき方向性が決まったと思ったんだけど・・・『いや、組織よりも個の力だ』っていう意見が前面に出てきて、それ一色になちゃったから、もう一度、立ち戻って、考えないと。どちらかを取れっていうのではなくて。ただ、組織で戦うというのが日本の長所だと思うから、そちらを伸ばしてあげた方が、短所を改善するよりも早いと思う」

で 「個の力は差がありすぎますからね」

西 「Jのチームを見ていても、そういうことは十分できているわけだから。湯浅さん*2風に言えば『有機的なサッカー』?(笑)っていうのは出来るわけだから。そういう方向を目差した方がいいんじゃないかなと思う」

さ 「三ツ沢で愛媛と横浜FCの試合見たんだけど。愛媛の中盤の選手が前半3分で退場になったわけ。どうするのかと思ったんだけど、ラインをきっちり組んで、上げ下げして終盤まで無失点だったの。横浜FCも爆発的な攻撃力があるチームじゃないことを差し引いても、大したもんだと思ったのよ。そういうサッカーは日本人は得意だし、相手の方が個の力で上だと思ったら、余計に組織的にやらないと。それをいまさら『個の力がなかったからって』言っても。日本は相手との力関係を間違えたよね」

い 「いろんな物差しを日本は間違ってますけどね(笑)」

さ 「アジアレベルだったら、宮本が一人余って、中澤の高さで勝てるよ。でも、W杯とか行くと、中澤よりでかい奴がゴロゴロしてるわけだから。物差しを間違えて、『個の力で勝てる』って思ったのが失敗だよ」

で 「一回、実力を認めなきゃいけない。そういう意味ではいい機会でしたよね。今回のW杯で分かりましたもんね。日本国民も、代表の関係者も」

西 「でも、分かってない人がいるから(笑)」

ブ 「一番上の人が分かってない

西 「そうそう」

さ 「勘違いしちゃいけないのは、確かに『個の力は弱かった』よ。でも、組織力もなかったんだ。川淵のコメントだと、『組織力があっても、個の力で勝てなかった』みたいな印象を受けてしまう人がいるかもしれないけど

で 「そうそう。個の力もなかったし、組織力もなかったんですよ。それじゃあ勝てないよね」

ブ 「今から思うと、トルシエのアプローチは正解だったってことか」

さ 「今回のW杯のどのチームを見ても、どこも組織的だよ」

ブ 「それでも点を取られちゃう。プレス掛けて、コンパクトにしていても。日本はそれ以前の問題」

さ 「はっきり言って、問題外」

ブ&で 「一番酷いチーム

さ 「32チーム中、ダントツでビリだと思うね

で 「ジーコの発言とか周りの選手の発言を読むと、ジーコは日本の選手達が1対1でも勝てると思ってたフシがありますよね」

西 「W杯の時も?4年間やってきて?」

で 「前にボールが入りさえすれば、バシバシ抜いていけると思ってたみたい

西 「いやいやいやいや・・・

ブ 「いやいやいやいや(苦笑)

さ 「いやいやいやいやいや(苦笑)

い 「いやいやいやいやいやいや(壊)

一同 「いやいやいやいやいやいやいや(壊)

さ 「えー、それ、どこの国のロナウジーニョ?(笑)

い 「それ、なんてロナウジーニョですか?(笑)

西 「なんていうアドリアーノですか?(笑)

で 「タマダーニョですか?(笑)


Jリーグと海外


ブ 「仮にね。国内リーグでいい個人の力でバンバンDFを抜いて点を取るような選手がいたとして、じゃあ、代表に入ってそれができるかといったら、難しいでしょ」

さ 「できないでしょ。できないけど、少なくともJリーグで点を取っている選手じゃないと、W杯でも点は取れない」

だ 「玉田、取ったけど(笑)」

さ 「でも、Jリーグで点を取った選手がちゃんと選ばれてない」

ブ 「でもね、Jで得点王になった高原がドイツに行っても点が取れてないし、大黒がフランスに行っても、点が取れてないっていう現状があるわけでしょ。そういうのをジーコは無視してその選手達の『個の力』を信じてしまったわけよ。大黒とかすごくいい選手だったじゃない」

さ 「ただ、ガンバっていうチームにいたからそれができたという側面はある」

で 「俺も大黒が日本で一番いいFWだと思ってたんですけどねえ」

ブ 「そういう意味では、国内リーグ全体のレベルを上げていかないと」

で 「今のJリーグにはかつてのピクシーとかエムボマみたいな本当にいい選手っていないですよね。そういう選手がいれば・・・。そういう相手とやっていると個の力も上がると思うんですよ。ベルナブカーノのシュートを川口は止められなかったけど、Jリーグにはあんなシュート打つ選手はいないじゃないですか。もし、そういう選手がいたら川口だって、あのシュートを止められたかもしれない。レッズのワシントンはJリーグの中では力が頭一つ抜けてるけど、本当のワールドクラスってわけじゃないし」

ブ 「Jリーグにもっと金を掛けて、基盤を強化していかなきゃいけないのに、代表だけに金を掛けている気がする」

西 「頭でっかちなんですよね」

で 「まだまだ学ばなきゃいけないことがあるけど、いまのJリーグは学ぶ場所にならない。ドゥンガを見て福西が育ったし、スキラッチを見て中山がいる。逆にそういう選手と戦った他チームの今の30代くらいの年齢の選手もいい選手になったと思うし。そういうのをもう一度やらなきゃいけないんじゃないかと思う」

ブ 「おかしいのは、海外に行った途端に代表に入るというあの選考の仕方だよね」

で 「典型的なのが藤田俊哉

西 「笑っちゃいましたもん。Jで大活躍してた時には見向きもされなくて、オランダに行って試合に出れてないのに代表に呼ばれて」

で 「Jリーグにいる選手は透明でジーコの目には見えてないんでしょうね。海外に行くと、その選手が見えてくる(笑)

西 「そもそも、ジーコは就任する時に『Jリーグで活躍する選手を選ぶ』って明言してたじゃないですか。にもかかわらず、海外組を重用したわけでしょ。それじゃあ、Jリーグでやっている選手達のモチベーションが上がるわけがない。そもそも試合すら見に来ない」

い 「オシム*3が前に言ってましたね。選ばれるべき選手が選ばれてないみたいなことを」

ブ 「モチベーション下がるよね。国内で頑張ってる選手が選ばれなくて、選ばれても紅白戦の相手になるだけじゃあね。練習やってもシュート練習500本とかでしょ(笑)」

さ 「代表まで行って、やるべき練習じゃないよね」

で 「シュート練習500本やってる暇があったら、ボールの取りどころの確認をして欲しいですよ」

い 「シュート練習も、ノープレッシャーで球出しして、シュートするだけでしょ?そんなシーンが試合であるか!!って話ですよ」

西 「シュート練習って、各クラブチームに対する侮辱だと思いますよ。そんなことを代表にやらせて

ブ 「そういう練習してたら、コンディション崩して帰ってくるのもよくわかるよね」

さ 「肉体的なものより、精神的なものの方が大きいでしょう」

 次へ続く

*1:後半31分。高原が相手陣内でボールを奪い、そのままドリブルでペナルティーエリアへ。DFを引きつけて左の柳沢へパスをはたくが、呼吸が合わず、柳沢が戻りながらシュート。しかし力がなくGKがキャッチ

*2:湯浅健二。サッカージャーナリスト

*3:このディスカッションは川淵の『失言』前