感想

 前節、磐田は相手のキーマンであるクライトンに犬塚をマンマークさせた。これが効果を発揮し、クライトンを完全に封じ込め、札幌を機能停止に陥らせることに成功した。この日も犬塚を相手のキーマンである遠藤に張り付かせた。

 序盤はまずまずの効果を発揮したが、徐々にガンバがペースを掴む。それはガンバの「キーマン」が遠藤だけではないからだ。二川、明神、橋本とガンバの中盤は日本代表級の選手をそろえている。遠藤を経由しなくてもボールをつなぐことができるのがガンバの強みである。

 特に後半は、恐らく意図的にだと思うが、遠藤がサイドに流れる場面が多くなった。これによって、マーカーの犬塚もサイドに釣り出され、その結果、磐田の中盤に穴が空くようになった。そして、中央のフリーな選手からサイドに展開され何度もピンチをつくられる。

 対して磐田の攻撃はほとんど形にならなかった。前田にボールを当てて、そこからサイドに展開したり、フリーな中盤の選手に戻したりするのが磐田のパターンだが、この日は前田にいい形でボールがほとんど入らなかった。前田へのボールは山口にことごとくカットされていた。先制点は奪ったものの、すぐに同点とされてからは防戦一方となった。

 結局、磐田がこの日放ったシュートはわずか5本。それは前節の札幌のシュート数と同じだった。得点こそ、後半44分だったが、それ以前に数々のピンチを作られており、力負けの感が否めない。いや、だからこそ、残り数分での失点が悔やまれるのか。残留争いの中で貴重な勝点1を失った。